予定なし手帳見直し春浅し    河村 有弘

予定なし手帳見直し春浅し    河村 有弘 『合評会から』(三四郎句会) 賢一 予定なしですか。私も同じで、この句は本当に身につまされます。 正義 コロナ禍なので、春が来ても何の予定もない。悲しいかな、悔しいかな。 而云 ひょっとしたら予定があったかな、と手帳を確かめたら、やはり予定なし、ですか。コロナ時代の朝を詠んで悪くないが、この句「し」の三段切れですね。その点がどうも・・・ 有弘(作者) 「し」を三つ並べ韻を踏み、気取ってみたのですが、「三段切れ」は拙いですか。私はどうも小細工の癖がありまして・・・。          *         *         *  俳句作りで、三段切れはよくない、という考えが一般的である。俳句はたった十七音。その中に三つの概念を詠み込むと焦点がぼけてしまうし、作為も目立つので、挑戦するに値するとは思えない。「蝉暑し はや蝉涼し 蝉かなし」(炭 太祇)など、三段切れの名句とされるものもあって、一概に否定は出来ないが、韻をふむような試みは概して成功しない。優れた俳句は、小細工とは別のところにあるのだと思う。 (恂 21.03.28.)

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