春めくやスカイツリーの影を踏む 加藤明生
春めくやスカイツリーの影を踏む 加藤明生
『合評会から』(日経俳句会)
木葉 だんだん日永になってきて、太陽は空のより高みへと移ってゆく。スカイツリーの影も短くなるが、その影を意識して踏んでいる作者。冬が終わり、いよいよ春に向かう喜びを感じさせます。
水兎 日差しが少しづつ戻って、影も真冬とは違う色になってきますよね。影にも春を感じられたのですね。
守 外出がすっかりご無沙汰で、はやくこんな都内の散歩をしたいものだという気持ちにぴったりの句。
ヲブラダ 遥かなるスカイツリーが足下にある。まさに春めいた気分になります。
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作者は「コロナ禍で大半の人が“おうち時間”が長かったのではないかと思います。最近になってやっと暖かい日が訪れ、スカイツリーの影が少しずつ短くなってゆきます。大人も子供も追いかけて踏みつけたくなるのではないでしょうか」と自句自解を寄せている。昔この辺はじめじめして実に陰気な場所だったのだが、近頃は面目一新、東京の新しい顔になっている。令和の東京新風景を詠んでなかなかいい。
(水 21.03.24.)