抱き上げてこれが梅よと若き母  山口斗詩子

抱き上げてこれが梅よと若き母  山口斗詩子 『合評会から』(番町喜楽会) 的中 先日、近くの航空公園に蝋梅を見に行ったとき、たくさんの子ども連れがいました。抱き上げている親はいませんでしたが、理解できるかどうかわからない幼い子に梅を教えている様子、情景に親子の愛情を感じます。 命水 初めての子を持つ母ならではの微笑ましい光景です。父親ならおそらくしないような……。 斗詩子(作者) 健康維持のため、雨の日以外は近所の公園への散歩をほぼ毎日四、五千歩を続けています。梅の花がほころんできたな、春が近づいているなと思っていたら、幼い子を抱き上げ「これが梅の花よ」と教えている母親がいました。その子はほのかな梅の香も忘れないに違いないと、ほのぼのとした気持ちになりました。              *       *       *  白梅にせよ紅梅にせよ、咲き始めの頃は賑やかさはなく、枝の陰に隠れるようだったりして、見逃してしまいがちだ。俳人は開花を心待ちにし、寒さの中を探梅に出掛けたりする。この一句では、すでに枝の上に花が並んでいるのだろう。抱き上げられたのは保育園児あたりか。優しい母に見守られ、健やかに育って欲しい。 (光 21.03.21.)

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