マスク取り香りをかぐや寒の梅   田中 白山

マスク取り香りをかぐや寒の梅   田中 白山 『季のことば』  句を見て「その通りですね」と頷いた。梅は放っておくと相当な大木になるが、庭木として鑑賞の対象とする場合、低く刈り込むことが多い。これが桜と大いに違うところで、梅は目の前で花を見ることが出来るし、顔を近づけて香りを嗅ぐことも可能だ。梅の花を目の前に、少し背を丸め、顔を前に突き出している作者の姿が目に浮かんで来る。  そして「マスク取り」が本年の特別重要事項である。毎年、同じようなことが繰り返されているはずだが、今年は時事句になってしまう。梅見の誰もがマスクをしているはずだ。そしてマスクを少し下へずらし、鼻の先を出して香りを嗅ぐ。マスクを元に戻した作者は「来年はマスクなしにしたい」と考えているのではないだろうか。  さて、この梅の花は白か紅か? 確か「香るのは白梅」だったと思い、ネットで確かめたところ、やはりその通りのようだ。赤もピンクもいいが、やはり梅の花は、特に寒中は白が似合う。この原稿を書くために作者に句の場所を問い合わせて、返事を頂いた。「亀戸天満宮の太鼓橋の白梅です」。ああ、あの太鼓橋、と風景が浮かんで来た。 (恂 21.01.26.)

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