池普請ポイ捨ての恥白日に 岡田 鷹洋
池普請ポイ捨ての恥白日に 岡田 鷹洋
『この一句』
「池普請」は灌漑用水をコントロールする溜池の整備作業にもともとの起源がある。水量が細くなる渇水期に池の汚泥除去や堰堤整備をして翌春の耕作に備える。村落の住民が狩り出され、泥まみれのお返しに池の鯉や鮒などの獲物を頂く。それは季節のお供え物にもなる。農協系の食品スーパーではこの時期、小鮒の予約販売を行う。「池普請」には米作地域の生活習慣が滲む。農村型の季語、池普請である。
「池普請」は近年、テレビのバラエティー番組で脚光を浴びている。民放キー局で、神社仏閣の庭園浄化や公園の池での「お宝探し」が人気番組に。お笑い芸人に大学の生物学の先生も参加してのドブ浚い。排水ポンプを動かし、巨大魚や珍しい外来魚はいないか、歴史の遺物はないかと探る。近隣の住民が見物に来て賑わう。ある種のボランティア活動であり、自転車や古タイヤなどに大騒ぎする、お笑いの一面も。これは都会型の池普請。
掲載句はまさしく都会型だ。
(て 20.11.27.)