黒猫も納屋に飛び込む芋嵐 須藤 光迷
黒猫も納屋に飛び込む芋嵐 須藤 光迷
『合評会から』(番町喜楽会)
てる夫 「芋嵐」の意味を初めて辞書で調べました。いい季語だなあと思っていただきました。
命水 白猫だと絵になりません。ここは黒猫ですね。
水兎 雨の降る嵐だったのでしょうか?一人と一匹で、仲良く雨を眺めている情景が目に浮かびました。
双歩 「も」の意味がわからず採れませんでした。
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「黍嵐」の傍題である「芋嵐」はあまり見ないが、味のある季語として話題にしてもよし、「黒猫も」の「も」について論じてもよし、この句自体の良さを論じてもよい句だろう。俳句では「も」は焦点がボケるから控えるべきと言われる。もちろん「も」の多用は避けるべきだ。「黒猫の」でいいのではないかとの声も出たが、この句の「も」は猫さえ逃げる激しい芋嵐だとの意があると思える。作者は「も」にしたのは、「里芋を育てている農家の人が先に納屋へ入ったからです」と、目の前の情景を見たまま詠んだだけと述べている。
(葉 20.11.01.)