テレワーク終へてTシャツ半ズボン 前島幻水
テレワーク終へてTシャツ半ズボン 前島幻水
『季のことば』
「半ズボン」を採っていない歳時記もあるが、まぎれもなく夏の季語。戦後しばらくは半ズボンの大人が少なくなかった記憶がある。いま半ズボン姿といえば、私立小学校の児童を思い浮かべる。強いて大人の半ズボン姿を探せば、リゾート地のゴルフ場にちらほら見られるほどか。ズボンを短くするのは、冷房施設のなかった戦後に欠かせない省夏方法だったのだ。現代ではバミューダショーツのような短いズボン(古い世代のせいかパンツと呼べない)が若者の定番になっているようだ。
コロナ禍により出勤せず、自宅でオンラインの仕事をする昨今である。テレワークと称しZOOMほか様々なIT技術を使い、時には対面での仕事となる。対手が上司ならTシャツでというわけにはいかない。雲の上の上役ともなればスーツにワイシャツが求められもしよう。緊張の対面が終わってやれやれと、Tシャツ半ズボンに着替える情景を愉快に詠んだ、極めて今日的な俳句だ。
余談ながらスーツの下はパジャマのズボンと〝告白〟した人もいる。季語「半ズボン」の復権は、温暖化の激化とコロナ禍生活がいつまで続くかにかかっている。
(葉 20.07.23.)