毛虫焼く火炎放射の沖縄戦 野田 冷峰
毛虫焼く火炎放射の沖縄戦 野田 冷峰
『この一句』
一瞬、戸惑った。「毛虫焼く火炎放射の」という上五中七の後には「煙かな」とか「新兵器」のような言葉が続くものと予想した。つまり一句一章である。だが、その予想は見事に裏切られ、何と「沖縄戦」というアッと驚く言葉が出現した。となると、これは二句一章の取り合わせで、「毛虫焼く」の後で切れることになる。
椿や山茶花に群がった毛虫退治に、竹の先に襤褸切れを巻き、油をしみ込ませたものを燃やして…という焼き討ち作戦をとったことがある。葉や枝への毛虫の蝟集ぶりが物凄かったからだ。しかし、そこから壕に逃げ込んだ沖縄の人々に発想を飛ばすのは、常人の及ぶところではない。いかに句会が6月23日、沖縄忌に近かったとしても。
言葉遣いについては、何と不愛想なという印象が拭えない。不愛想は武骨とも言い換えられる。ただ、そのぶっきらぼうさが、戦争の暴力性、理不尽さ、悲惨さを表現する一助にもなっている。話は逸れるが、沖縄は日本から独立し、琉球に戻る方がいいのではないか。日米安保条約の基地問題をどうするかは、本土に返還して。
(光 20.07.02.)