冷酒汲む茄子の鴫焼き白き皿 堤 てる夫
冷酒汲む茄子の鴫焼き白き皿 堤 てる夫
『合評会から』(番町喜楽会)
迷哲 鴫焼の味噌の色と皿の白い色の対比が綺麗で、美味しそうだなと思っていただきました。
満智 美味しそうですね。「茄子の鴫焼」の句は二句あって迷いましたが、白い皿との組み合わせでこちらにしました。
可升 この句は「冷酒」「茄子」「鴫焼」「白き皿」と道具が多くて散漫になり、もう少し焦点を絞った方が…と思いました。
水牛 「白き皿」に「鴫焼」の組み合わせは、映りはいいんだけど、やはり「白き皿」は余計な気がします。
* * *
俳句には「余計なものは切り、焦点を絞って仕立てるのがいい」とする考え方があります。野菜の句で焦点を絞ったものを探すと「流れ行く大根の葉の早さかな」などがあります。
しかし、対象に迫る虫の眼ではなく、対象から離れた鳥の眼による作り方もあるでしょう。その例を挙げれば、ちと周りが広すぎますが「菜の花や月は東に日は西に」とか。
ともあれ、自分は白い皿に触発され、茄子の紫紺や薄緑、味噌の焦茶という色と香りを連想し、「冷酒を汲む器はガラスか」など想いを広げました。まずは、美味しい茄子に乾杯。
(光 20.06.28.)