メールにも飽きて初夏を長電話  藤野 十三妹

メールにも飽きて初夏を長電話  藤野 十三妹 『この一句』  作者は、外出自粛中で自宅に居る。友人とはメールであれこれやり取りをして過ごしているものの、どうにもまどろっこしい。電話の方が手っ取り早い、とばかりに早速、友達の携帯にかけたのだろう。おしゃべりは始まってしまえば止まらないのは、世の常。初夏の気候は暑からず寒からずで長話には最適だ。話がループし始めても当人たちは無頓着で、とことんしゃべり尽くして、ああスッキリ。自粛生活のストレスを少しは解消できたのではないだろうか。  ステイホームが長くなり、「誰かと会って話がしたい」、「他愛ないおしゃべりのありがたさを知った」などの声を聞く。今や世界中の人が概ね自宅に蟄居している。直接会うことが難しいので、オンラインでの会合も流行っているようだ。試しに筆者もオンライン飲み会に参加してみたが、分割された画面に写る仲間が元気そうだという情報が、コマ落としのような映像と、頼りない音声越しに確認できた。コロナでもなければあり得ない事態だ。双牛舎傘下の句会も、このところメール句会が続く。メールや電話による隔靴掻痒感は早く終わりにして欲しい、と切に思う。 (双 20.06.07.)

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