志村けん朧月夜の再放送 堤 てる夫
志村けん朧月夜の再放送 堤 てる夫
『この一句』
何と理不尽、不条理な、と感じた人も多かったのではないか。志村けんさん死去の報に接したときに、である。「よりによってコロナウイルスに感染して」とは…。新聞や雑誌にはドリフターズ時代からの活躍をたどった追悼記事が掲載され、テレビでは「東村山音頭」や「変なおじさん」などで構成する追悼番組が放送された。
それにしても、である。コロナウイルスが跋扈し「感染拡大防止に不要不急の外出は自粛を」と要請されるほど、社会は静かに、というより暗くなる。そんな雰囲気を吹き飛ばしてくれるもの、強く求められるものは、笑いに他ならない。その笑い、コントやギャグを生むことに長けた類稀なコメディアンが疫病に拉致されてしまった。
朧月夜の日の再放送を見、作者は「ヒゲダンス」などの絶妙な芸に笑うとともに「志村けんさんが可哀想だ」という想いに囚われたのではないか。「志村けんのだいじょうぶだぁ」が再編集され「ユーチューブ」で公開、収益は日本赤十字に寄付されるというのは吉報。世の中を明るく、笑いの渦に…という、志村けんさんの遺志なのだろう。
(光 20.05.15.)