新入生みんなマスクで誰が誰   杉山 三薬

新入生みんなマスクで誰が誰   杉山 三薬 『合評会から』(日経俳句会) 庄一郎 今年ならではの入学式をうまく詠っています。 鷹洋 とんだ新学期。入学の楽しさなど吹っ飛び、同級生紹介でも区別がつかない。コロナの恐怖が伝わってきます。 木葉 コロナ禍の中、学校が始まっても馴染みのない同級生のマスク顔は判別できないでしょう。深刻になりがちな時事句ながらユーモアがあります。 弥生 マスク顔は一瞬で判断できません。大人は困惑しつつも子供はお構いなし、の時事句ですね。 定利 誰が誰、の下五がうまい。        *      *      * 入学の俳句には、子供の仕草や親や教師の姿などを詠むものが多いが、この句はマスクに焦点を絞り、コロナウイルス感染防止に躍起になっている今年の姿を鮮やかに描き出した。東京都内の小学校では、入学式を延期したり見送ったりしたところもあるとか。人生の節目なのに、可哀想に…。マスク姿でも、入学式ができた子供は幸せだ。時代を切り取った佳句である。 (光 20.04.29.)

続きを読む