椅子に掛け足ぶらぶらと入学す 横井 定利
椅子に掛け足ぶらぶらと入学す 横井 定利
『合評会から』(日経俳句会)
而云 何と、七十何年か前、私は母親からこのことを注意された記憶があります。◎の句。
三代 小さな入学児のかわいさが「足ぶらぶら」で伝わってきます。秀逸の表現かと。
明生 小学生になる位の子の仕草をよくとらえた句。なぜ足をぶらぶらさせるのか不思議です。
昌魚 小さな一年坊主の様子でしょうか、可愛いいですね。
水馬 なかなかジッとしていない子の様子が浮かびますね。
反平 かわいいもんですな。何だか先生が言っているようだけど、退屈で、退屈で。
* * *
読めばたちまち新一年生の可愛い姿が浮かんでくる。まだ小さいので椅子に座っても足が床に届かず、先生の話にすぐ飽きて、足を動かす。ハラハラしている親の姿まで浮かんでくる。子供の動きをなぞるように詠んでいる。「足ぶらぶら」の表現が微笑ましく、句会で高点を得た。作者は元カメラマン。入学式の取材経験を句にしたと言うが、読者に映像をイメージさせる手腕は確かだ。
(迷 20.04.27.)