冴ゆる夜や難病の友良く語り 植村 博明
冴ゆる夜や難病の友良く語り 植村 博明
『この一句』
令和二年の初句会の兼題「冴ゆ」で、飛び抜けた九点を集めた一句。「日経俳句会月報」(2月5日付)でこの句を読まれた奈良・興福寺前貫首(現寺務老院)の多川俊映師から早速「佳い句だと存じます。(俳句会会長の)中沢豆乳さんの句評がすべてを表しているかと」との葉書が届いた。
合評会での豆乳評は「寂寥感が伝わる。優しい句だなと思った」と簡潔。「難病に負けない友人の気概と、友を想う作者の心情を季語が表している」(綾子)のほか、賛辞たくさん。読み込んでいるうちに、作者と友人との人間関係がしみじみと伝わって来た。
多川前貫首には昨年四月、双牛舎傘下の日経俳句会、番町喜楽会、三四郎句会合同の総勢二十七人で、三百年ぶりの再建なった中金堂見学に訪れてお会いした。豆乳会長とは仕事の上でのお付き合いがあり、本坊の大広間での講話と御薄を頂いた。鄭重なおもてなしを頂いた御礼の気持ちを込めて、毎月の日経俳句会月報と、年一回の会報をお送りしている。「俳句に気持ちが向いています」とおっしゃっていたのが忘れられない。
(て 20.02.16.)