風光る前垂替へし笠地蔵     金田 青水

風光る前垂替へし笠地蔵     金田 青水 『合評会』から(番町喜楽会) 双歩 「地蔵」は句材としては古いですよね。またかぁという気はしたのですが、良かったね、お地蔵さん、という感じでしょうか。 木葉 よくある題材ですが、春の風景としていいかなぁと。 満智 誰が替えたかわからないけれど、お地蔵さんの前垂れが新しくなっている。春の風景としてとても感じ入りました。 斗詩子 道端のお地蔵さんの前垂れが新しく替えられたのだろう。春の日差しのなかで、その朱色が一段と映えてお地蔵さんが喜び微笑んでいるような気がする。           *      *      *  確かに、「お地蔵さん」や「道祖神」などを詠んだ句はたくさんある。新鮮な句材を扱った作品と違って類句、類想も多く、鑑賞のハードルは高くなる。とはいえ、お地蔵さんは親しみのもてる存在で、ある種の安定感があるのも事実だ。昔話を想起する「笠地蔵」と季語「風光る」が柔らかく呼応し、「こんなに点がいただけるなんて」と作者も驚く高点句となった。 (双20.02.14.)

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