釣ったのは空飛ぶジャンボ恵比寿神 岡田鷹洋
釣ったのは空飛ぶジャンボ恵比寿神 岡田鷹洋
『おかめはちもく』
初夢の句かと思うかも知れないが、1月4日に句友連れ立って七福神巡りをした際の吟行句である。品川宿近辺の旧東海道を歩いたのだが、街道に沿って鮫洲、青物横丁など商店街が続き、由緒ある社寺が散在している。門前に江戸六地蔵の一体が鎮座する品川寺で、羽田空港の飛行ルート変更に反対する市民運動家の一群に遭遇した。商店街の真上をジャンボジェット機が飛ぶことになり、危険だと訴えるビラを参拝客に配っていた。
掲句はその見聞を下敷きにしているが、七福神の一人である恵比寿様を登場させ、人間界の騒動を笑い飛ばしている。雲の上で豪快にジャンボ機を釣っている恵比寿様の姿が浮かんできて、俗世を忘れ愉快な気分になる。
ただこの句には季語がない。作者は「恵比寿神」で、季語の「七福神詣」をイメージさせたかったと思われる。確かに、七福神のどれかを入れれば新春福詣を示すことになるという説もあるのだが、ちょっと無理なようだ。ここは例えば「初空やジャンボ釣り上ぐ恵比寿神」など、新年らしい季語を入れてみてはどうだろう。
(迷 20.01.17.)