台風禍めげぬ最上の芋煮会 岡田 鷹洋
台風禍めげぬ最上の芋煮会 岡田 鷹洋
『合評会から』(酔吟会)
百子 「芋煮会」がいいですね。災害が起こると、地域の祭や行事をあえて行って地元の気持を奮い立たせます。最上の「芋煮会」も毎年の行事なのでしょう。だから台風禍でもあえて行う。「めげぬ」という言葉が象徴しています。
光迷 みんなで元気になろう。元気を付けよう、という前向きな感じがします。
鷹洋 (写真を持ち出して)「芋煮」ってこんな鍋なんですよ。地元で医師をしている友人が「今年は大変だったけどやりました」って連絡が来ました。
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俳句に地名を用いるのは難しい。有名な地名だと景色や雰囲気が浮かんできて、季語以上の働きをするが、型にはまった句になるきらいがある。逆に誰も知らない地名だと何の働きもせず、場所塞ぎになってしまう。この句の「最上」はどうであろうか。あまり有名ではないが無名でもない。山形県の最上川中流地域で、今も古き良き風土、文化を残している。相変わらず「芋煮会」を盛大にやっているのだ。これは「最上」を知らない人にも感慨を抱かせる。「芋煮会」という郷土色豊かな行事との取り合わせで固有名詞が生きた。
(水 19.12.06.)