令和の世託す平和をコスモスに  富永 秀明

令和の世託す平和をコスモスに  富永 秀明 『季のことば』  当欄を主宰するNPO双牛舎は、「俳句振興」の一環として、上智大学法学部同窓会の「俳句講座」を請け持っている。掲句はその今年度の秋季講座に出された一句、「生れて初めて俳句を作った」というお三方の中の一人の作である。コスモスは兼題の一つであった。  この花のイメージは新時代・令和に実によく似合っている。新天皇は即位のお言葉の中で何度も「国際社会の平和」「人類の福祉と繁栄」を訴えておられた。「コスモス」は「宇宙」や「秩序」を意味する。俳句講座が行われたのは「即位」より二週間前のことだったが、天皇家の人々によって受け継がれてきた「平和」への思いは、「コスモス」へとごく自然に繋がって行く。  中南米の原産で、新大陸発見後に世界中に広がり、日本には明治年代にイタリア人の美術教師ラグーザによってもたらされた。その繁殖力の強さ、清楚な美しさはまさに「世界の平和」を希求する人類の願いに通じるではないか。講座中、句中の「託す」は「祈る」くらいが適切か、と考えていた。しかし読み直しているうちに考えが変わってきた。コスモスに平和を託すべし! (恂 19.11.24)

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