権禰宜が写真撮ります七五三 堤 てる夫
権禰宜が写真撮ります七五三 堤 てる夫
『季のことば』
子供の健やかな成長を祝い、神社にお参りする「七五三」。傍題に「七五三祝(しめいわい)」や「千歳飴」がある。11月15日が近付くと、どの神社も着物や袴姿で着飾った子供たちで境内は賑やかだ。付き添いのパパママも爺婆も晴れがましそうな笑顔笑顔。真に平和な光景だ。
掲句、字画の多い見慣れない漢字「権禰宜」が目を引く。「ごんねぎ」と読むのだろうと見当はつくが、詳しくは分からない。調べると、神社の職階には一般的に宮司、禰宜、権禰宜があり(宮司の下に権宮司を置く所も)、禰宜は宮司の補佐役、権禰宜は一般職。権禰宜以上が神職で巫女さんは含まれないそうだ。
作者は、七歳を迎えるお孫さんの七五三のお祝いで、その子の氏神にお供した。孫の女の子が神殿に上がり、神主さんから祝詞をいただいているシーンを神職らしき人が写真を撮っていた。多分、そういうサービスなのだろう。後で、撮影してくれた人に名詞をもらったら、「権禰宜」と記されていたという。そこで一句が整った。権禰宜が「写真を撮ります」と孫を写してくれた事実を、素直に詠んで、臨場感溢れる佳句となった。
(双 19.11.21.)