乱舞するイナゴ飛び交う千枚田   渡辺 信

乱舞するイナゴ飛び交う千枚田   渡辺 信 『おかめはちもく』  北から南まで日本列島は山が切れ目なく連なっているから、東側も西側も海から山へとせり上がる地形になっている。さして広くない平地を耕し尽くせば畑も田もせり上がって行かざるを得ない。こうして段々畑や棚田(千枚田)が独特の景色を作ることになる。  しかし、棚田を耕作する方は大変だ。田一枚が狭すぎるし、傾斜地でもあることから農機が使えない。全て昔ながらの人力に頼らざるを得ない上に、観光名所になったり、環境保護の指定などを受けて、農薬の使用が制限されてしまう。イナゴにとっては天国で、自由奔放飛び回っている。  そんな情景を詠んだ素晴らしい句なのだが、「乱舞する」と冒頭に置いて、中七に「飛び交う」と来ては、あまりにもうるさい。これを何とかすればいい句になる。  大群のイナゴを見て、「一体全体何万匹いるんだろ」と驚く。その気分を込めて、「乱舞するイナゴの数や千枚田」としてはいかがであろう。 (水 19.10.22.)

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