夜食にも一行詩ありこども食堂  野田 冷峰

夜食にも一行詩ありこども食堂  野田 冷峰 『この一句』  「こども食堂」とは、貧困をはじめ様々な理由で満足な食事が摂れない子供たちに、地域住民などが無料または低価格で食事を提供する地域交流の場のこと。2012年に都内の八百屋さんが始めたといわれ、自然発生的に広がり、今や全国に3700カ所にものぼるという。個人の自宅を使ったこぢんまりとしたものから、公民館などで大勢を集める食堂まで規模は様々だ。  作者が関わっているのは、個人宅を使ったささやかな「こども食堂」。近所の広場で遊ぶ子に、母親の帰りが遅い何人かが居残っているのを見かねた住民が自宅に子供たちを呼んで、作者とともに夕食を囲んだのが始まりという。作者は、5月の句会でも「まんぷくのこども食堂竹の秋」と詠み、好評だった。掲句は9月の別の句会で話題になった作品。「夜食にも一行詩あり」の意味は、「一緒に食事をしていると子供たちはいろんな話をしてくれる。その内容をかいつまんで言うと、まるで一行詩のように思えた」ということのようだ。  作者はこのほど、生い立ちを綴ったエッセーや珠玉の260句をまとめた『独耕』という句文集をNPO法人双牛舎から上梓した。熱くて優しい人柄が滲み出ている本だ。こころ優しい作者には、当事者にしか作れない「こども食堂」の俳句をこれからも作り続けて欲しい。 (双 19.10.02.)

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