転校の子の朝顔も持ち帰る    向井 ゆり

転校の子の朝顔も持ち帰る    向井 ゆり 『おかめはちもく』  朝顔は発芽率が高く成長が早いため、生育観察に向いている。小学生の低学年は一学期の始めに種をまき、水をやって観察日記をつける。夏休み前の終業式の際に、宿題と一緒に自宅に持ち帰り、世話をする。  「朝顔の鉢抱いて来る下校の子」(番町喜楽会・的中)の句を思い出すが、掲句は転校生の朝顔である。句会では持ち帰ったのは誰か、で議論となった。転校でいなくなった子の鉢を、友人が二つ持ち帰ったと解釈した人。転校する子自身が図画や習字と一緒に持ち帰ったと読んだ人に分かれた。  「子の朝顔」の助詞「の」をどう解釈するかで違ってくる。主語を表すと見るか、所有者と見るかによって、登場人物・場面が変わる。  作者によれば「転校の子が残していった鉢を別の親が持ち帰った」とのこと。より分かりやすい表現はないか頭をひねってみた。「転校の子の朝顔も抱き帰る」、「転校の子の朝顔もわが庭に」――さてどうであろうか。 (迷 19.09.19.)

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