老象の背に砂かける残暑かな    谷川 水馬

老象の背に砂かける残暑かな     谷川 水馬 『合評会から』(日経俳句会) てる夫 動物園で砂吹きあげている光景、暑苦しい気持が伝わってくる。 二堂 上野動物園の年間パスを持ってよく散歩に行きます。砂を吹く光景はあまり見ないのですが、この句はまさに暑苦しい感じが現れています。 迷哲 老象が残暑に合うなと思い採った。 定利 象にはこういう性質があるんだ、と知りました。        *       *       *  作者には「動物園の水馬」の異名もあるほど、動物を詠んだ佳句が多い。「空を嗅ぐ北極熊や冬隣」、「陽だまりのオランウータン水っ洟」などが思い浮かぶ。  句材を求め家から近い横浜ズーラシアによく足を運ぶのだという。「砂を掛けるのは虫を取るのと日焼けを避けるためだそうです」(作者)とのことだが、老象と残暑の取り合わせで句の味わいを深めている。  ネット時代、検索した知識や画像から句作することもある。しかし現実に見聞していない句はどこか作り物めく。良い句を作るには句材を求め、現場に足を運ぶ努力を怠ってはならないという自戒としたい。(迷 19.09.11.)

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