ブルースをただ聴き続け夏の夜     高橋 ヲブラダ

ブルースをただ聴き続け夏の夜     高橋 ヲブラダ 『この一句』  占領下の横浜で少年時代を過ごしたため、何も分からないままにブルースやジャズが身体に染み込んだ感じがある。と言ってギターが弾けるわけでなく、トランペットが吹けるわけでもない。演奏会で拍子を取っていると間を外してしまう、どちらかと言えば音痴に近い。それなのに、古いジャズやブルースを聴いているだけで気が休まるのだ。  この句の作者にももしかしたら、そんなところがあるのかも知れない。本当に「夏の夜」はただただブルースを聴き続けていたい気になることがある。ただ、私よりずっとお若いから、ジャズでもブルースでも、私が大昔に慣れ親しんだキド・オーリー、ルイ・アームストロング、ジョージ・ルイス、歌い手ではビリー・ホリディ、エラ・フィッツジェラルドなどではなくて、新時代のジャズやブルース歌手かも知れない。  黒人奴隷が働きながら歌ったワークソング、教会で歌った賛美歌、霊歌、故郷のアフリカの唄などが綯い交ぜになって生まれたブルースは、単調で素朴な詩とメロディである。それが不思議に現代の我々の心に強く響く。(水)

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