百日紅散りて真昼のアスファルト     中嶋 阿猿

百日紅散りて真昼のアスファルト     中嶋 阿猿 『合評会から』 三代 焼き付いたアスファルトに百日紅が散っている、夏らしい懐かしい句だなと。 鷹洋 ほんらい綺麗な花なんですが、それが散ってちょっとした無常感がある。 昌魚 百日紅はいま真っ盛り。亡くなった近所の奥様と百日紅を前に世間話をしたことを思い出しました。 作者(阿猿) まだ散っていないので、ちょっと嘘をつきました(笑い)。        *       *       *  百日紅は中国原産の落葉高木で夏場に紅やピンク、白の花をつける。花期が長いため百日紅(ひゃくにちこう)とも呼ばれる。加賀千代女も「散れば咲き散れば咲きして百日紅」とその生命力を詠んでいる。  掲句は百日紅の花が道路に散り敷いた場面を詠む。日差しが照り付ける黒いアスファルトと散った紅い花の対比が鮮やかだ。盛夏を咲き切って散った花に、そこはかとなく無常感も漂う。作者には「凌霄花スナック街の眠る午後」という日経俳句会賞受賞句もある。花の特質をとらえ、色や形をより鮮明に印象づける場面の創出力に感心する。 (迷)

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