花散らし風は嘯くまた逢おう     藤野 十三妹

花散らし風は嘯くまた逢おう  藤野 十三妹 『この一句』  「嘯く(うそぶく)」は、「平然と言い放つ」とか「そらっとぼけて言う」などの意味で使うことが多い。例えば、政治家の「子供たちの未来のために」とか「美しい日本」だとかの巧言を聞いたとき、「また嘯いてる」と評したりする。要するにあまり良い意味では使われない。ところが、『広辞苑』には「口をつぼめて息を大きく強く出す」、「鳥などが鳴き声を上げる」、「詩歌をくちずさむ」の意味の方が先に載っている。随分意味合いが違うが、掲句はもちろん前者の使い方だ。  「ヤクザっぽい所がいい。よく句にしてくれた」(三薬)、「花と風の仲がいい関係を詠ったいい句だ」(好夫)、「勘太郎月夜唄からヒントを得たような句で面白いと思った」(鷹洋)などと句会では好評だった。  「嘯く」を織り込んだ俳句は珍しい。一行詩という舞台に生々しい言葉はそぐわないのだが、作者はコピーライターとあって言葉遣いはユニークだ。時に過激に走ることもあるものの、この句の場合はぶっきらぼうな物言いが効果的だと感じ、筆者も一票を投じた。(双)

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