春光や北の大地に鶴の舞     吉田 正義

春光や北の大地に鶴の舞     吉田 正義 『この一句』  鶴は秋に中国大陸やシベリアから日本に飛来して越冬し、春に帰って行くのが多いのだが、釧路湿原では昔から丹頂鶴が居着いて特別天然記念物になっている。ここの鶴たちの一年のスケジュールからすると、春は伴侶を決め、交尾、産卵、孵化、子育てと続く最も忙しい時期である。求愛のダンスも大空の飛翔もすべてが鶴たちにとって自然の摂理に基づく行為である。  この句は「春の訪れ、ツルが悠然と飛んでいる。北の大地と鶴の様子が印象的です」(諭)、「ツルの叫んでいる姿が映像として浮かんできました」(敦子)、「鶴の舞にスポットを当てて春らしさを表現した」(尚弘)と、句会参加者の多くから称賛を浴びた。  ただ問題は「鶴」が冬の季語であり、「鶴来る」という秋の季語、「鶴帰る」という春の季語が定まっていることである。鶴の舞に「春光」という春の季語を被せてしまうのはいかがなものかという疑問が呈されるかも知れない。しかし春の遅い北海道で、待ち望んだ明るい陽光に翼を輝かせて舞う鶴のインパクトは強い。ちまちまとした「季重ね論」は吹き飛んでしまうだろう。(水)

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