春雨や元気湧き出るミモザの黄     池村 実千代

春雨や元気湧き出るミモザの黄     池村 実千代 『季のことば』  ミモザとはオーストラリア原産の銀葉アカシアのことで、春に球状の鮮やかな黄色の花を密集してつける。1770年に英国海軍士官ジェームズ・クックによってオーストラリア大陸東海岸が初めて正式に測量され、帯同した博物学者によって珍しい動植物が欧州にもたらされた。銀葉アカシアは欧州で大人気になった。ことにフランス人がこの花を好み、ミモザと名づけ春を告げる花として珍重した。明治になって欧州経由で日本に入り庭園樹になった。  本場豪州にはミモザをはじめアカシアが数百種類あり、ひっくるめてワトルと呼んでいる。9月1日を「ワトル・デー」と名づけ、ワトルの咲き誇る下で園遊会を開き、ビールやワインで乾杯。大木全体が金色に染まるのが実に見事で、色こそ違え、まさに日本のお花見である。  この句はしとしとと降る春雨の中、ミモザの鮮烈さに目を奪われ、力づけられたと言っている。あたり一面鼠色の中でのミモザは確かに映える。ミモザが季語の「春雨」のお株を奪ってしまったような句だが、両々相俟ってこの時期の雰囲気を醸し出している。(水)

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