蝌蚪坊主朝のお勤め寺の池     印南 進

蝌蚪坊主朝のお勤め寺の池     印南 進 『季のことば』    私は蝌蚪(かと)の句を見ると、句仲間から聞いた言葉を思い出す。彼女はご主人にこう言われたそうだ。「君たちは仲間内だけに通じる言葉を使って遊んでいるんだね」。ところが俳句歴八年でも「蝌蚪」を知らない人がいた。彼はこの妙な漢字をじっと見つめ「読めないなぁ」と呟いていたのだ。  「おたまじゃくし」なら誰にでも分かるが、俳句を作るのに六音は長いし、炊事用具の名の転用という点も気に掛かる。「蛙の子」も蛙そのもの姿を想像してしまうためか、これも使いにくい。そこで俳句ではたった二音の蝌蚪が愛用されて現今に至る。果たして「蝌蚪」は一般に認められるのだろうか。  そんな思いの中で出会った掲句の「蝌蚪坊主」。私はおたまじゃくしの頭(?)の丸さを思い浮かべ、笑ってしまった。鎌倉に住む作者によると、寺の境内を散歩中、池の中に“彼ら”を見つけた時、「蝌蚪坊主」の語が浮んだという。愛嬌のある造語である。私も使わせてもらおうかな、と思っている。(恂)

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