浅春の石打ち当てし鍬の先 今泉 而云
浅春の石打ち当てし鍬の先 今泉 而云
『合評会から』(日経俳句会)
反平 春がまだ浅いという季語に沿っている。
ゆり 春と言うとぼんやりしているという句が多い中、これは自分から身を動かして働いている。そんな雰囲気がいい。
鷹洋 春浅い実感が出ている。
木葉 「打ち当てし」で予期しない出来事が上手く表現されている。
てる夫 まだよく耕されていない硬い感じ。浅春の雰囲気がよく出ている。
青水 どこかで出遭った気がするほど完成度が高い。季語が立ち上がってくる。
綾子 畑仕事をされる方の実感からの句。
水馬 畑に出るのが嬉しくて、鍬が石に当たろうが機嫌は良いようです。
三薬 畑を耕していて鍬に石が当たるのは当たり前。全然面白いと思わなかった(大笑い)。
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ほんの小さな石でも打ち当てると意外に大きな音を立てる。まだ肌寒い空気の中で、硬質な響きが浅い春の気分を際立たせる。(水)