ともかくも休みのうれし建国日 前島 幻水
ともかくも休みのうれし建国日 前島 幻水
『合評会から』(番町喜楽会)
百子 「建国記念日」は胡散臭い匂いもあって、私なんか、まるで興味がありません。そんな中で、この句が一番私の心境に合っているかなと思っていただきました。
春陽子 いま、「建国日」というアンケートを取ると、「休みが嬉しい」ということになるのでしょうね。
斗詩子 近所の子供にこの日に会ったので聞いたのですが、あまり知らないようで、知りたいとも思っていない、休めて嬉しい、そんな感じ。まさにこの句の通りです。
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建国の日をめぐってのあれこれうるさいゴタクはさておき、「なにはとももあれ、休みというのが嬉しいね」という洒落っ気が面白い。今どきの人たちの建国日に対する思いはこんなものなのだろう。
ただし、戦前の忌まわしい軍国主義による「紀元節神話」は論外だが、建国の日を素直に祝えないのは淋しい。神話は「おはなし」と受け止めて、日本という国の成り立ちに思いを馳せる記念日があってもいいような気がする。(水)