建国の日列島箍が緩みだす 野田 冷峰
建国の日列島箍が緩みだす 野田 冷峰
『おかめはちもく』
平成最後の建国記念日、日本国は大いに揺らいでいる。厚生労働省の「毎月勤労統計」の不正問題もその一つ。国家運営の基本となる統計作成作業がデタラメだったということは、内閣総辞職すべき重大問題なのだが、その総責任者たる安倍晋三内閣総理大臣は国会で「重大な責任を感じております」と恐縮した体を装いながら、所管官庁の役人の首をすげ替えるくらいで、自身は全く責任を取ろうとしない。そして、最も不思議なのは、こうしたいい加減な政府のやり方を国民が怒らないことである。アメリカやフランスなら即座にデモ行進が始まるところである。
つまり、今の日本は作者が喝破したように「箍が緩んで」いるのだ。「建国記念日」の2月11日を前に、「無反応」な国民大多数を抱えた日本国は漂流し始めた。そこを鋭く衝いた社会性俳句である。
それなのに、ああ惜しいかな、この句は「建国の日」などと、全く意味のない「の」を挟んで無用の字余りを生み、鋭い警句を台無しにしてしまった。「の」を取り去れば問題一挙解決、そのまま通用する。(水)