風邪の子の額確かめ母出勤 中村 哲
風邪の子の額確かめ母出勤 中村 哲
『合評会から』(日経俳句会)
昌魚 私の子供の頃は考えられなかった情景。今は当たり前になった。
涸魚 我々の世代には共稼ぎはなかった。現代の母親の大変さがよく出ていて心打たれた。
三薬 出勤した後この子はどうしているのか。ジイジの私がすぐ面倒見る(笑い)
二堂 本来母親は会社を休むべきだと思う。大切な仕事で出勤しなければならないんでしょうが・・・。
ヲブラダ 今は日常の風景。親と子のつながり、母親の優しさが出ている。
而云 おそらく家には自分の親か義理の親がいる。「額確かめ」はなかなかで、ああそうかと思った。
* * *
こんな細やかなしぐさをする男親はまずあるまいから、「母」を取って「風邪の子の額確かめ出勤す」とした方がすっきりするのではないかと思った。ともあれ後ろ髪を引かれる母親の心情が表れた佳句である。(水)