保母の膝ひとり占めして待つ夜寒    向井 ゆり

保母の膝ひとり占めして待つ夜寒    向井 ゆり 『合評会から』(日経俳句会) 冷峰 「ひとり占めして」のフレーズが気に入った。保母さんにまとわりつく幼児、まさに夜寒の雰囲気だ。子どもの心理をうまく詠んでいる。 哲 保育園でさびしく迎えに来るママを待っている。保母さんの膝の中にひとりで座っているけれど、心細く思っているのでしょう。季語の「夜寒」とよく合っている。 而云 よくこういう場面を思い付いたものだ。迎えを待つ最後の一人になって「ひとり占め」になった。 双歩 他の園児には順々に迎えが来て、一人だけ残された子どもが、保母さんと二人きりでいる。秋の夜の「夜寒」が独立しているようで上手い。 三薬 自分の迎えが遅くなって待っている我が子、哀感の「夜寒」ですね。                 *         *         *  園児、保母さん、そして夜寒の道を急ぐ若いお母さん。三者三様の思いが浮かび上がる。「母親しか詠めない句」と感想を述べたら「父親だって迎えに行く」の声。しかしこの句は絶対に母親の作だと思った。(恂)

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