秋寒し石鹸痩せて夜半の風呂 中嶋 阿猿
秋寒し石鹸痩せて夜半の風呂 中嶋 阿猿
『合評会から』(日経俳句会)
好夫 どこがいいかと言われても分からないが、「秋寒し」「石鹸痩せて」「夜半の風呂」がいずれもそろって、なんとなく感じが出ているなと思った。
三薬 私もどうして採ったか説明がうまくつかないが、上手い作りに騙されて採ってしまった(笑い)
哲 『神田川』のイメージだ。「石鹸痩せて」で綺麗な人が夜中の風呂に入っている情景が浮ぶ綺麗な句だ。
庄一郎 秋更けて夜遅く帰り、独り入浴している姿が目に浮かぶ。
万歩 泡のたたないちびた石鹸を使う時の心はまさに秋寒しだ。
睦子 「痩せて」が「秋寒し」にとても効果的。
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「どこがいいかと聞かれても答えるのが難しい」「なんとなくいいなと思ってしまう」──良い句とはそういうものなのかも知れない。ふと感じたことをそのまま詠む。それを読んだ人が共感を抱く。それが佳句の条件で、さしづめこの句はその見本のようだ。(水)