小鳥来るめだかの甕のみなぎわに 澤井 二堂
小鳥来るめだかの甕のみなぎわに 澤井 二堂
『季のことば』
小鳥がやってくる季節になった。二坪ほどの我が小庭でも、草や葉が動いていると思って見つめていたら、小鳥がつんつんと移動していた。隣家の同じような小さな庭からもやってくるようだ。もし屋根の庇が薄い木の板だったら、小鳥到来の小さな物音を嬉しく聞くことが出来るかも知れない。
小鳥は水たまりを好むようだ。古い火鉢を半分ほど地面に埋めて金魚を飼っていた頃、その周囲には確かに小鳥が来ていた。火鉢の中に飛び込んで、身震いしながら水浴びをしていたのを目撃したこともあった。作者がめだかを飼っている甕の周りにも小鳥たちが集まって来るのである。
ところで「みなぎわ」とは「水際」のこと。平仮名表記にして格好よくなった、と感心していたのだが、本欄のもう一人の筆者(水)氏から声があった。「みなぎわ、という古い言葉を使うなら“みなぎは”と書いてもらいたいなぁ」。そうでした。旧仮名を正しく使うべし、と私も肝に銘じた。(恂)