二人ゐて一人ぼっちの夜長かな 田中 白山
二人ゐて一人ぼっちの夜長かな 田中 白山
『合評会から』(番町喜楽会)
てる夫 想像を掻き立てられる句であり、いろんなストーリーが描ける句とも言えますね。タイトルが同じでも、導き出せる物語がいくつもあるように。
可升 二人は男女かなぁ、と思いますが、人それぞれ、いろんな状況があるはずですね。この句のようなことが往々にしてあるのでしょう。
満智 一人よりも一層寂しいかも知れません。
斗詩子 気持ちがすれ違って、ご夫婦が背を向け合って寝るのか、一人が別の部屋に行くとか。でもね、いつも仲のいい夫婦だから、こういう句もできるのでしょう。
白山(作者) 私はね、こうならなくちゃいけない、と思っている面があるんですが・・・。
* * *
作者のコメントの最後は聞き取れなかったが、敢えて問い直さなかった。高齢の、仲のいいご夫妻の来し方、行く末の、いくつかのストーリーが浮かんで来て、身の引き締まる思いが湧いてきたからである。(恂)