ボランティア腰伸ばし聞く秋の声     田村 豊生

ボランティア腰伸ばし聞く秋の声     田村 豊生 『おかめはちもく』  その昔柔道で鳴らした人たちが中心になってこしらえた、その名も「三四郎句会」というユニークな句会の会報最新号に載っていた句である。  「ボランティアという語を使って現代的な感覚の句にした」(有弘)、「被災地に入ったボランティアたちの雰囲気が感じられる」(賢一)、「今年の日本はまさに災害列島。ボランティアがやれやれと腰を伸ばし、秋を感じている」(正義)、「時世を詠んで秀逸。暗さがなく、ボランティアの感懐に絞って、前向きなところがいい」(崇)などと、多数の会員が共感を抱いたことがうかがえる。  ボランティアが聞く秋の声とは、"災害の当たり年"とも言うべき平成三十年を如実にもの語り、警世の声とも取れる、実に素晴らしい句だ。  ただ、その合評会で而云氏が「『聞く』は省略し、『腰を伸ばせば』などとしたらどうか」と述べているのを見て、まさにその通りだと思った。「伸ばし、聞く」と動詞が連続すると、折角の句がもたついてしまうようだ。災害現場の重労働はさぞかし大変だろう。時々は深呼吸もしたくなるだろう。「背筋そらせば」でもいいかも知れない。(水)

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