雉鳩の間のびして鳴く野分あと     高井 百子

雉鳩の間のびして鳴く野分あと     高井 百子 『合評会から』(番町喜楽会) 可升 台風の過ぎた後、雉鳩が鳴いている。それが「間延び」している、という。台風後の気分をよく表していると思います。 水兎 「雉鳩」は「デデッポーポー」と鳴くんですよね。どこでもよく鳴いていますよね。その鳴き声はそれでなくても間延びしているんですが、「野分あと」ならなおさらなんでしょう。よく合っていると思います。 而云 感じがいい句だと感心しました。台風が過ぎて、ほっとして静かな日常が戻る。そんな時にいつもの「雉鳩」が鳴いている。台風の後だからその声は、いつもより「間延び」して聞こえたんでしょうね。           *       *       *  「野分」は台風のこと。平成三十年は台風の当たり年で、気象庁まとめによると、これまでに本土にやって来た台風は18個と平成六年(94年)と並ぶ過去最多だそうである。各地に大被害をもたらしたのだが、この句は「とにかく台風が去った」という気分を実によく表している。恐らく家の近くにキジバトが来たのだろう。それをすかさず詠み込んだのが素晴らしい。(水)

続きを読む