一瞬の脛の白さよ阿波踊        徳永 木葉

一瞬の脛の白さよ阿波踊        徳永 木葉 『季のことば』  「阿波踊り」は秋の季語「踊り」の中から独立させたらどうか、と個人的に思っている。この踊りの持つパワーは並外れたもので、一般の盆踊りと明らかに異なる性格を示しているからだ。本場の徳島に留まらず、東京の高円寺、埼玉・越谷など何十もの分派が生れ、さらなる展開を予想させる。  「手をあげて足をはこべば阿波踊」(岸風三楼)。踊りの動作は単純なものだ。掲句はもちろん、風三楼の句も女踊りを詠んでいるようだ。男踊りに比べると、こちらは一糸乱れぬ手足の動きに特徴があり、編み笠の上に掲げた両手の動きに目を奪われ勝ちだが・・・。  「一瞬の脛(はぎ)の白さよ」と詠まれて、軽度のショックを受けた。黒下駄、白足袋の足元に、この踊りの魅力があるのかも知れない。私はおおむね人波の後ろに立ち、手の動きだけを見ていたような気がする。来年は近場の高円寺で、“脛の白さ“を確かめてみたい。(恂)

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