叔母の家新涼を行く田舎道     大平 睦子

叔母の家新涼を行く田舎道     大平 睦子 『おかめはちもく』  この叔母さんは、ずっと昔、作者がまだ幼かった時分から女学校の頃まで、よく出かけては一緒に遊んでもらった叔母さんなのだろう。亡くなった母親の末の妹にでも当たるのだろうか、自分とそれほど年が離れていない、若い叔母さん。しかしさすがにずいぶん年を取ってしまった。でも、まだ元気で田舎に頑張って住んでいる。久しぶりにその叔母さんを訪ねようと、懐かしい田舎道をのんびりと行く。  「新涼」という初秋の空気が漂ってきて、読んでいるこちらも楽しくなってくる句だ。しかし、残念ながら言葉の配列が良くない。「叔母の家」で切れて、「新涼を行く」でまた切れて、「田舎道」がポツンと置かれているから、とことこ歩いているような感じはするものの、ぶつ切れの印象が強い。やはりもう少しなだらかに流れるように詠んだ方が良さそうだ。あれこれ考えた末に、    新涼を叔母の家へと田舎道 というのが浮かんできた。こうすると「新涼」が強調され、作者の軽やかな足取りも伝わって来るような気がする。(水)

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