石垣のほどよき隙間ほたる草 星川 水兎
石垣のほどよき隙間ほたる草 星川 水兎
『合評会から』(日経俳句会)
好夫 実のところよく分からないのですが、全体としていい句だなあと。
昌魚 石垣の隙間を「ほどよき」と言ったところなど、景がよく見える感じがしました。
哲 ほたる草の控えめな生え方に「ほどよき隙間」はいい。
木葉 実は「ほたる草」というのはどんな草か知らないんですが、この句の「石垣のほどよき隙間」という上手さでいただきました。
弥生 石垣にそっと咲いているほたる草。「ほどよき隙間」の表現が絶妙です。
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螢草とは露草のこと。初秋から晩秋まで、青い丸い二枚の花びらをミッキーマウスみたいな形でつける。優しく可憐な花だが、ぽきぽき折れた茎から芽と根を生やして一本立ちする、なかなかしぶとい草でもある。これは石垣の隙間に取り付いた露草であろう。選んだ人が口々に「石垣のほどよき隙間」という措辞を絶賛した。こういう素晴らしい言葉を発見すると、詠む方も、読む側も嬉しいものだ。(水)