新涼の風グリーンにパーパット 深田森太郎
新涼の風グリーンにパーパット 深田森太郎
『おかめはちもく』
「ゴルフに名句なし」という。こんな俗言が俳句界に存在するのは、俳句愛好家にゴルフをやる人が少ないためだ、と私は思っている。ゴルフを理解する人が基本的に少ないので、ゴルフの句は選ばれにくい。句会における句の評価は得点に比例しがちであり、即ち、ゴルフの句に名句なし、となる。
この句を選句表に見た瞬間、「いいぞ」と思った。新涼のグリーン上でパーパット。何とも爽快ではないか。しかし二度目に読み直した時、「新涼の」で切ってしまい、戸惑った。この句は「新涼の風」で切る「七五五」なのだ、と気づいたが、「グリーンに」の“中五”に歯切れのよさがない。
ここは「新涼の風のグリーンや」としてみたらどうだろう。パー4の3打目、アプローチをまずまずの距離に寄せて、心地よい風の吹くグリーンに立つ。傾斜と芝目を読んで一呼吸、いよいよ「パーパット」となるのだ。「そんなこと言われても分からない」という人がいるに違いないが・・・。(恂)