河童忌やウキを見つめて日暮れまで 石黒 賢一
河童忌やウキを見つめて日暮れまで 石黒 賢一
『合評会から』(三四郎句会)
崇 この句、肩の力を抜いて詠んでいますね。それだけに、この釣りをする人、何を考えているのかなと、想像を刺激されます。
尚弘 釣り堀なのかな。湖か池でヘラブナでも釣っているのかも知れない。のんびりとした雰囲気で・・・。河童忌はこういう詠み方がいいのかな。
而云 兼題を間接的詠んで何かを感じさせる句ですね。
賢一 年金生活者の雰囲気を借りて、河童忌を感じさせようと思いました。
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この句会で忌日(河童忌、龍之介忌)の兼題が出されたのは初めてのことだった。それだけに芥川の事跡を調べたり、小説を詠んだりして、それぞれに工夫を凝らしていたらしい。ところがこの句の作者は脱力を心掛けたようである。スピードボールを打たんとするバッターに、スローボール投げた感もあり、かなりの効果を挙げたと言えよう。「こんな作り方でいいのか」と思った人もいたようである。(恂)