美しく老いる道なし夏の月 斉山 満智
美しく老いる道なし夏の月 斉山 満智
『合評会から』
百子 意味がはっきりしない面もあるのですが、なんとなくいい句だなと思って頂きました。
冷峰 「美しく老いる道あり」が普通でしょう。「道なし」という作者の見解を聞きたくて選びました。
而云 外見だけでなく、心のことも含めて、「道なし」と言いきった。そこがすごいと思う。
的中 美しく終わりたいという願望はみんなありますが、現実は難しいのだ、という心境でしょうか。
光迷 「美しく老いる」みたいな本が結構ありますが、そんなの大方は嘘だと思います。それをいさぎよくずばりと「道なし」と言いきったところがいいと思いました。
水牛 僕は虚栄でもいいから「美しく老いる道あり」と言って欲しかった。諧謔の句かなぁ。
満智(作者) 生老病死に苦しむ人間に対して、「夏の月」が超然と輝いているというイメージです。九十代の四姉妹を身近に見ていて、老後は美しくなくたっていいじゃない、という思いもありました。
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美しく老いる道、ありやなしや。「美しくなくてもいい」という作者の言葉が心にズンと響いた。(恂)