紫陽花の坂や千段のづら積 谷川 水馬
紫陽花の坂や千段のづら積 谷川 水馬
『この一句』
のづら積、すなわち「野面積」は、自然のままの石を加工せず、積み上げて石垣を築く手法だという。城づくりの歴史から見ればもちろん初期的なもので、石それぞれに手掛かりが多く、よじ登りやすい。ただしこの句の場合は、高い石垣のことではなく、城山につくられた石段ののづら積みと思われる。
句の作者は元々石積みの知識を持っているに違いない。足下に続く野性的な石段を「のづら積みだな」頷きながら登って行ったのだろう。千段の石段である。一段が三十造箸垢譴弌∋杏喚辰發旅發気鯏个襪海箸砲覆襦F擦涼爾砲六舁朮屬硫屬延々と続いていた。城郭などの建物は失われているようだ。
紫陽花は増やしやすい。花後のこの頃、枝を切って土に挿しておけば芽を出してくる。ある時、土地の人がつぶやいた。城ブームなのに、うち等の城、人気がないなぁ。そこで有志が石段の脇に紫陽花を植えて行ったら、数年にして城の人気が出始めた――。地方紙のそんな記事を読んだ記憶がある。(恂)