新緑や会津にいまも薙刀部 玉田春陽子
新緑や会津にいまも薙刀部 玉田春陽子
『おかめはちもく』
当欄「おかめはちもく」は、つまり添削欄なのだが、執筆の側にちょっとした心理的負担がある。大宗匠が若手の弟子に教えを垂れるのと違って、相手は仲間であり、年上の人もいる。直したい句があっても、先輩や実力者の作には、どうしても腰が引けてしまうのだ。それではいけない、と緊褌一番、この句に手を入れることにした。
作者は番町喜楽会や日経俳句会に、この人あり、と知られる巧者。とは言え、この句には一言あるべきだろう。「会津にいまも」が頷けないのだ。薙刀は武道だが、正式なスポーツであり、国体種目にもなっている。競技者は女子だけとは言え、堂々たる文部省認定の競技だ。剣道との立ち合い(女子対男子)も行われている。
会津藩は戊辰戦争で新政府軍に立ち向かい、“婦女隊”も大奮戦したのだから、句の趣旨は大賛成。しかし高校の薙刀部が全国的にあることを思えば、「いまも」は失礼に当たるだろう。ここは「新緑や会津女子高薙刀部」くらいの方がよさそうだ。という訳で、これからは作者のレベルに関わらず俎上に載せますので、よろしく。(恂)