七曲り遠見の滝の真白かな     水口 弥生

七曲り遠見の滝の真白かな     水口 弥生 『この一句』  「七曲り」は「つづら折り」「羊腸」とも言い、坂が幾重にも折れ曲がった所を指す。一直線ではきつくてとても登れない山道の傾斜を緩くするための知恵で、古代から存在する。日光いろは坂は七曲がりどころか四十八曲りもあるが、これを代表に、日本全国に「七曲り」は沢山ある。どこも複雑な地形故に景勝地となり、滝のある場所も多く、大概観光名所になっている。  この句はどこの七曲りを詠んだのだろう。やはり日光だろうか。そしてこれは上りの景色か、あるいは下りだろうか。どちらを想像するかは読者任せである。  車窓にかなり大きく見えていた滝がカーブを曲がると見えなくなり、次のカーブを曲がるとまた見えてくる。そしてまた次の曲りで消え、次ぎにまた現れる。そうしているうちにあんなに大きかった滝が、小さくなってしまった。今や新緑の中に白く輝く一本の剣のようだ。──さようなら、さようなら。私は下って行く時の光景と読んだのだが・・・。とても面白い句であり、そしてとても美しい。(水)

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