夏めきて素足のびのびゴム草履 山口 斗詩子
夏めきて素足のびのびゴム草履 山口 斗詩子
『合評会から』(番町喜楽会)
光迷 「のびのび」に夏が来た嬉しさが表れていていいですね。
満智 跣足になれて、足の指が喜んでいる。この季節の開放感がよく表れていると思います。
水馬 「夏めきて」が説明になってしまうようで気になりました。「夏めくや」の方がいいかも。
光迷 そもそも「夏めく」という季語そのものが説明的なんだ。
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若い娘だろう、眩しいようなすらりと伸びた足に無造作につっかけたゴム草履。「素足のびのび」がいい。いかにも夏めく頃の感じだ。蕪村の「夏河を越すうれしさよ手に草履」に一脈通じるところがある。確かに「夏めいて」きたから「素足にゴム草履」という、「原因結果俳句」の憾みが無くはないけれど、それはむしろ「夏めくや」で切ってしまうとそうなる。こうして一句一章で、すっと詠むと、素直に夏めく感じが伝わるように思う。(水)