ひょろひょろの茄子苗二本頑張れよ     大澤 水牛

ひょろひょろの茄子苗二本頑張れよ     大澤 水牛 『合評会から』(番町喜楽会) てる夫 こういう句材だと固有名詞が特定されそうですが、ご苦労を偲んで頂きました。 冷峰 私も同じような状況を何度も体験しています。それだけに茄子が出来た時の感激は大きい。こんなに大きな茄子になるのか、と思いますね。句の二本の苗も大きく実ってもらいたい。 光迷 ウチでも野菜の苗を植えますが、添え木して「頑張れ」と声をかける。作者の気持ちはよく分るなぁ。 水牛(作者) いかにもひょろひょろと弱々しかった。毎年、そう感じますが、特に今年の茄子の苗は「大丈夫かな」と思いました。このところ殊に風が強く、ビニールで防風スクリーンを考案したりして・・・。            *        *        *  苗に呼びかけた「頑張れよ」が効いている、という声が多かった。全くその通りである。さらにもう一つ「ひょろひょろ」という表記の効果も挙げたい。俳句の表記は“小さい字”も「ひよろひよろ」のように普通の字で書く、という取り決めのようなものが通用しているが、意味のある、守るべき慣習とは思えない。句材や詠み方(例えば掲句のような口語体)によっては、現代に相応しい表記を用いるのが当然と思う。(恂)

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